2019年4月28日日曜日

鎖肛について2

治療法

これはもちろん手術しかありません。生まれて早期に行わなければうんちがお腹にたまって死んでしまうからです。
低位型の場合多くは1回の手術で根治術(目的として完全に治すための手術)を行います。やはりトラブルのある部分が少ないので肛門周囲の筋肉なども通常に近い状態なのでしょう。
中間位型と高位型 ではまず人工肛門と言ってうんちの出口をおなかに作ります。肛門と名前はついていますが当然うんちを我慢するという働きはありませんから単なる出口、穴です。そこに出てきたうんちを貯めるためのポケットと言われる袋を付けておくのです。
それから発育を待って肛門周囲の筋肉が増えたところで肛門を作る根治術を行いお腹の人工肛門は閉じます。
私の場合も一度人工肛門を作ったようですが尋ねても両親ともその頃の記憶はもうほとんどありませんでした。

予後

その病気がその後どうなったのかという事ですが、低位型の場合はほぼ全員良好なようです。通常の子供と比べるとトイレトレーニングの期間が長引くかも知れませんが漏れちゃったという事はほぼ無いという事ですね。
中間位型と高位型では便秘や漏らしてしまうことがあると報告されているようです。

私の場合はこちらのケースで特に便意を感じることが少なかったのでずっとおむつです。特に小学生の頃までは自分で後始末が満足にできませんから体の大きな赤ちゃんと同じ状態でした。手術を行って成長はできたけれど両親には大きな負担をかけていたと思います。

現在では生活の質が問われる時代ですから、治療もこの長期予後を見通して行われているようです。つまり根治術を行ったから終わりではなくてその後のトイレトレーニング/排泄訓練を指導されるようです。
私の場合でも小学生低学年までは年に1回程度の経過観察をおこなっていました。小学3年生の時でしょうか再度お尻の手術を受けました。今考えると脱肛、脱腸(おしりにある穴から腸がはみ出してしまう)の手術や肛門再建の手術だったのかもしれません。
その時にお尻の穴を閉める練習をしなさいと言われたことを今でも覚えています。ただ当時小学3年生です。便意もよく分からない状態です。入浴中にギュッギュッと体に力を入れて頑張った記憶もありますがそれで何かが変わった記憶はありませんでした。

再手術後は経過観察もなくなり大きくなれば良くなりますよという説明で治療は終了したそうです。両親は恐らくとても悲しんだと思います。高校、大学と進むにつれ、私が体のことを気にし始め母親に尋ねると毎回、ゴメンネといって涙を流してしまう状態でした。
(もちろん母親が悪い事は一つもしていないのですが健康な状態で産めなかった自分が悪いと感じているのだと思います。)

2019年4月27日土曜日

鎖肛について1

簡単におさらい


鎖肛というのは簡単に言うとお尻の穴がない状態で生まれるということです。当然お尻の穴がないのでうんちが出せませんから外科手術が満足にできない時代は残念ながら亡くなってしまう病気でした。

良く病院で問診の時に既往歴を聞かれたり書いたりすると思いますが内科の先生だと”さこう”と聞いてもピンとこない方もいらっしゃいます。現在では治療できる病気で基本的には手術をすれば通常の方と変わらない方がとても多いからだと思います。 症状が残ってしまうとそれはとても大変な毎日になるのですが...


外見的には肛門がない(または穴があってもつながっていない)状態ですが体の中を詳しく調べて分類されます。
日本小児外科学会のサイトによると
骨盤部の側面のレントゲン写真で,図のような3本の基準線をもうけて診断します.直腸末端が肛門部皮膚のごく近くまで届いている ものを低位型といい,皮膚より遠く離れているものはその程度の差によって,中間位型と高位型に分けられます.また,瘻孔の有無とその部位による分類もあります.
とあります。 直腸末端というのは直腸の先端、端のことですね。肛門部皮膚というのは通常肛門がある位置の表面のことです。簡単に言えばどの程度うんちの通り道が作られていないかという事です。また瘻孔というのは小さい穴・細い通路のことです。瘻孔があるという状態はうんちの通り道があることはあるのだけれど出口が肛門ではなくおしっこの通り道だったりお尻の穴以外の所ということです。

低位型というのはうんちの通り道が少し作られていない。作られていない部分が長くなるにつれ中間位型、高位型と分類されるのです。(より正確にはお尻の穴を閉める筋肉の間を直腸が通っていれば低位型、筋肉まで達していないのが高位型です。)

2019年4月21日日曜日

現在の状態2

現在でももちろん問題が全くないわけではありません。
まず具体的には洗腸にかかる時間です。
現在では最短1時間半、標準2~3時間と言った感じです。これはこの瘻孔を使った洗腸を始めたころから変わりません。

満腹時は避けて食後3時間以上開けてから行っています。洗腸液を入れると数分程度で排泄が始まることが多いのですが、どの段階で終わりと判断してよいのか分からないのが問題です。しばらくトイレに座っていて排泄が続かなくなったら終わりと思っていてもトイレから出た瞬間に排泄がまた始まったり、その後身支度している最中に排泄が始まるということも何度もありました。

その予防としてトイレの中でお腹のマッサージをしたり腰を回す運動をしてみたり腹筋を動かして腸を物理的に刺激しています。積極的に排泄を促しているつもりです。

便が固形になるのは下降結腸より下流で上行結腸では泥状とよく言われています。ですから排泄されるものも始めは固形・有形ですがそのうち洗腸液と混ざった泥状のものが出てきます。さらにしばらくすると便の色も薄れたほぼ浣腸液だけと思われるものが出てきます。
こうなれ結腸内にはほぼ何もないはずなので安心して洗腸を終えることができます。

たいていは夜に行うのですが食事の関係で23時ごろから開始です。順当に処理できれば1時前後に終えられるのですがお腹が張ってうまく排泄されない時などは大変です。トイレの中ですが、腹筋運動しているようなものですから時間が長くなると更に疲労が溜まってきます。そのような時はトイレに座ったまま寝てしまうこともあります。

また何度か排泄が始まらずお腹がパンパンに張ってしまったことがありました。その時は食後あまり時間がたっていなかったのでお腹も膨れていてさらに吐き気までしてしまい冷や汗まで出てしまいました。

さらに洗腸後の最初の食事は注意が必要です。なるべく消化がよく脂質の少ないものを少量とるようにしています。少しずつゆっくりと固形の便が作られるようにしたいのです。量が多いとそれだけで腸を刺激しますし、脂質が多い食事は便が柔らかくなりやすいです。いずれもまだ固形になる前の便(洗腸で全てのモノが出ている訳ではないので)の排泄を促してしまう恐れがあるのです。

そのような事もあって体調やスケジュールに合わせて洗腸するようにしています。

調子が良い時は前日の夜に洗腸すると翌日からは排泄がなくなりますが、体調が優れない時は翌日にも泥状の便が少量ずつ出てしまう事もあります。これは洗腸液が残っていたか、大腸まで進んでいなかった食餌が大腸まで進んだ時に大腸の働きが不十分で水分の吸収が十分されずに排泄されてしまったのだろうと思っています。

日頃から睡眠不足には注意して、食事も脂質や炭水化物を摂りすぎないようにしたり、ヨーグルトなども積極的に摂るようにしています。

2019年4月20日土曜日

現在の状態1

現在の対処法

三十歳を過ぎてから縁あって小児外科受診の機会を得て、状態を評価して頂き治療を再開しました。

一般の方と同じように排泄をコントロールするには神経の問題(便が溜まっているとか出そうという感覚)と筋肉(排便のコントロール、つまり便をガマンしたり出すこと)の問題があるので、この場合の治療というのは便失禁を限りなく減らすことが目的になります。
排泄したいという感覚やその排泄を我慢したり排泄を促すと言うのは生まれてから発達してほぼ三歳頃に完成します。それゆえ、私の場合は腸の通り道はほぼ通常の方と同じと言うこともあって、成人してからその神経や筋肉の発達を期待するのは基本的に無理と判断されました。

現在は週に2、3回のグリセリン浣腸液を使った洗腸で日中の便失禁をかなり防げています。洗腸すると大腸の中が空になるので2、3日排便が無くなるからです。勿論食事の量によってその期間は変わりますし、食べ物の種類によっては排便が無くなるどころか逆に下痢(水様便)になってしまうこともあります。

洗腸と言うものも色々な方法がありますが、私の場合は手術をして右脇腹(ヘソよりも下。パンツで隠れる部分。)に小さい穴を手術で開けて、そこから浣腸液を注入しています(順行性洗腸といわれます)。

この位置には理由があります。人の大腸(正確には結腸)は右下腹から始まって上行結腸、横行結腸(背中の真ん中辺りを右から左へ横切る)、下降結腸(左下腹へ下がる)、s状結腸(曲がってお尻の中央へ向かう)、さらに直腸、肛門とつながっています。

ですからこの造設した孔から洗腸液を流し込めば栄養等の吸収がほぼ全て終わった(栄養の吸収は小腸が中心に行われます)便の元を全て洗い流せるのです。(トイレで見るうんちと大腸の中にあるうんちは状態が違うと言われています。とくにうんちは固形といってよい状態ですが上行結腸ではドロドロの状態と言われています。ですから私の場合、洗腸すると最初は形のあるうんちが出てきますが最後の方は下痢ではありませんがグリセリン浣腸液と共に水っぽい便が出てきます。)

皮膚の孔と上行結腸を結ぶパイプの役割をする管が必要ですが、私の場合は小腸を一部分少しだけ切り出して細い管状のものを作ったそうです。その管を皮膚の孔と上行結腸に縫い付けてあるのです。

盲腸がある方の場合は盲腸を管として利用できるので、盲端側(盲腸の先端)に穴を開けて皮膚に作った孔に縫い合わせるそうです。私の場合は盲腸がなかったのでこの方法は取れませんでした。(malone手術・マローン/マローネ手術というようです。こちらの方が体の負担がより少ないのでしょう。)

入院期間は一週間程度だったと思います。入院中は絶食がつらかった記憶がありますがそれまでの排泄管理とは比べられないほど効果があり排泄のことを忘れていられる時間が増やせました。

記事アップします

書き留めていたものをそのままにしてしまっておりました...
体調もさることながら環境まで悪くなってしまいなかなかブログを書こうと言う気力が持てませんでした。

しかし!くよくよしたってはじまらない。今の自分にできることを一つでもやっていこうと思います。

浪人時代

浪人時代 中学・高校と洋楽が大好きで当時流行でもありましたがハードロック/へヴィメタルをよく聴いていました。 当時はレコードが中心の時代です。少ないお小遣いで色々聴きたいのでレンタルしたり中古レコード屋さんめぐりをしたり... そんな生活ですから進路を考えた時に音響...